AIを仲介者とした注文絵画

 

 

「AIを仲介者とした注文絵画」のシリーズは、作品売買の在り方への問いが始まりでした。

絵が3週間の会期のあとに作家やギャラリーの手を離れ、より長い時間を過ごすのはコレクションいただいた方の壁面、もしくは倉庫です。実物を見ることなく購入するweb販売や、既存のギャラリーシステムの外に、画家にとっても迎える方にとっても親密な売買の在り方をいま模索中です。

注文絵画と言えば 古の、宮廷画家の描いた中世の肖像画、プロパガンダアートとして描かれた戦争画、寺社仏閣が絵師に描かせた襖絵なども思い起こされますが、画家の目前にある「場」からの要求や、「人」との対話により描かれる点が、個人制作で生まれる絵とは大きく異なります。

自動生成AI使用の是非は今まだ世間で議論されているところですが、AIが生成したイメージを、現代における注文絵画のモチーフとして使用することに一抹の可能性を感じています。

さらにAIは画家と注文主の間に立つ「仲介者」としても有効に機能するのではないでしょうか。自我も人格も持たないAIのもたらす平均値のイメージは、逆説的に、オリジナリティの所在を吟味させ、注文主の趣好も引き出すかもしれません。

このアイデアが 画家と注文主を繋ぎ、作り手と鑑賞者の関係をも融解させる「AIを介した新しい注文絵画」となれば幸いです。

 

「AI 注文絵画」のシステムをご紹介します。

 

1.しつらえや壁面を拝見し、お話をしてカルテを取ります。注文主には過去作品から数点、絵を選んでいただきます

2.選ばれた過去作品の絵をAIに読み取らせ、そのイメージをベースとし、カルテの内容、しつらえを見てのインスピレーションを指示文(プロンプト)として打ち込みます

3.指示文(プロンプト)の文字列に加筆訂正を加えていくことで生成イメージを変化させていきます

4.注文主に数あるバリエーションから描き出すための1枚を選び取っていただきます

5.アレンジを加えながら、キャンバスに極めて感覚的に描き出します

6. 「AIを仲介者とした注文絵画」として納品します

 

※AIの生成イメージはきっかけであり忠実に描くとは限りませんがご了承ください

※行程はオンライン上で行うこともあります

※AI 注文絵画はとくに美術品売買に馴染みない方のお手元に置いていただきやすい価格設定にしています

 

ご興味を持っていただけた方は、お気軽にお尋ねください。

 

参考記事:

paperC  「いま絵画を見ること。コミッションワークと似て非なる、注文絵画の経験」

https://paperc.info/on-site/yamamotorieko